無垢材の家具製作にはさまざまな木材が使われますが、「硬い木材のほうが丈夫で長持ちする」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、木材の硬さの違いや、家具選びにおけるチェックポイントなどを解説していきます。
木材の硬さが家具に与える影響とは

木材の硬さは家具選びにおいて重要なポイントです。硬い木材のほうが高密度で傷もつきにくいので、必然的に耐久性も高いものが多くなります。高級感も演出できるため、長く使い続けたい家具や日常的に使うダイニングテーブル製作に向いています。
一方で、柔らかい木材は傷がつきやすいものの、加工しやすいのが魅力。温かみのある風合いや手触りで、子ども用の家具などにぴったりです。軽い木材が多いので持ち運びしやすく、硬い木材よりはリーズナブルなものが多いのも特徴です。
もちろん、家具のよさは木材の硬さだけで決まるわけではありません。しかし、適切な硬さの木材を選ぶことで、見た目の美しさだけでなく、機能性や耐久性も兼ね備えた家具が手に入ります。
木材の硬さの見分け方

木材の硬さには、樹種(針葉樹か広葉樹か)と、その生育環境が大きく影響しています。硬さを知りたいときは、まずは樹種をチェックしてみるとよいでしょう。
広葉樹か針葉樹かで硬さが異なる
広葉樹は硬い樹種がほとんどで、英語でも「Hardwood(ハードウッド)」と書きます。広い葉を持つ樹木を指し、温暖な地域に多く生息。冬に葉を落として新しい季節に再び葉をつけるのが特徴です。
一方の針葉樹には柔らかい樹種が多く、英語名は「Softwood(ソフトウッド)」。細長い針状の葉を持つ樹木のことで、冬でも葉が落ちません。
- 広葉樹:オーク、メープル、チェリーなど
- 針葉樹:松、杉、ヒノキなど
木材の密度や年輪の幅も硬さに影響する
木材の硬さは、木の生育環境によっても変わってきます。たとえば、寒冷地で育つカエデなどの広葉樹は、年輪が細かく密度が高いため、非常に硬くなるのが特徴。これは寒冷地では木の成長が遅く、年輪が詰まって形成されるからです。
硬い樹種の多い広葉樹ですが、なかにはバルサのような柔らかい広葉樹も。温暖な地域で育った広葉樹は成長が早いので、年輪の幅は広めで密度は低くなる傾向があります。そのため、広葉樹ではあるものの、柔らかい木材として扱われます。
硬度はJanka硬度テストなどで測る
木材の硬さを測定する方法はいくつかありますが、一般的なのはJanka(ヤンカ)硬度テストを使った測定です。このテストでは、木材の表面に直径0.444インチの球体を押し付け、その深さを測定します。Janka硬度の値が大きいほど、木材は硬くなります。
硬い木材の特徴とメンテナンス

代表的な硬い木材には、以下のようなものがあります。
硬い樹種 | 特徴 |
---|---|
欅(ケヤキ) | 日本の伝統的な木。緻密で複雑な木目で、ツヤのある褐色を持つ。高級感があり、ダイニングテーブルやデスク天板に適している |
楢(ナラ) | 独特の波状の木目が美しい。非常に硬くて強度が高いため、耐久性を求める家具との相性がよい |
タモ | 明るい黄白色から淡い褐色まで幅広く、自然な色合いが魅力。直線的な木目が特徴で、ダイニングテーブルに最適 |
ブラックウォールナット | 深い茶色から紫がかった色合いまで幅広く、美しい波状の木目模様を持つ。高級家具によく使われる |
桜 | 波状のパターンを持つことが多い。深い赤みを帯びた茶色に変化。中程度の硬さで加工がしやすく、キャビネットなどに適している |
硬い木材が向いている家具
これらの硬い木材は、いずれも高い耐久性と美しい外観を兼ね備えているのが特徴です。メリットや、使用が向いている家具は次のようなものがあります。
- 使っていくうちに色合いが変わる経年変化も楽しめるため、長く使用する家具に向いている
- 傷がつきにくいので、頻繁に使うテーブルの天板に
- 筆跡が残りにくく、勉強机や作業台にもうってつけ
テーブルやカウンターなど、できるだけ傷を目立たせたくない家具に使うなら、硬い樹種がぴったり。メンテナンスも可能ですが、傷や凹みも味わいになるので、硬くて高級感のある木材には「育てる」楽しみもあります。
手入れすることで長期間に渡って愛用できる
硬いとはいえ、鋭いものを引きずれば傷もつきますし、物を落とせば凹むこともあります。どうしても気になるときは、メンテナンスで修復すれば長く愛用できるのがメリット。
また、無垢材を扱う家具屋で購入した場合は、傷や凹みがあった場所がわからなくなるくらいきれいに修復してもらえる可能性大。仕上げの塗装に合わせて修復されるので、仕上がりにも満足できるでしょう。
柔らかい木材の特徴とメンテナンス

代表的な柔らかい木材には、以下のようなものがあります。
柔らかい 樹種 | 特徴 |
---|---|
松(パイン) | 節が多く、温かみのある雰囲気。軽くて加工がしやすいので、カントリースタイルの家具や子供用家具に向いている |
シダー | 赤みを帯びた色合いと香りが魅力。防虫・防腐効果があることから、屋外家具や収納家具にもよく使われる |
檜(ひのき) | 耐久性と美しさを兼ね備え、香りがよいことでも知られる。日本の伝統的な建築にも多用され、高級家具や和風家具に最適 |
柔らかい木材が向いている家具
柔らかい木材の魅力は、なんといっても加工がしやすく、DIY初心者にも扱える手軽さです。使用が向いている家具は次のようなものがあります。
- 軽量な木材が多く、移動を前提とした家具製作におすすめ
- 見た目の印象もやさしく、手触りも柔らかいため、子ども用家具に
- 安価な木材もあり、コストパフォーマンスに優れた家具が作れる
軽く柔らかい針葉樹は、コストパフォーマンスに優れた樹種も多数。価格重視で手触りのよい木製家具を手に入れたいときは、上記のような樹種から選ぶのもありです。
柔らかい木材を使った家具のメンテナンス
それぞれの木の特性に合わせ、適切なメンテナンスを心掛けることで、大切な家具を長く楽しめます。たとえば、上記であげた3つの木材のメンテナンスは以下のとおりです。
パイン家具:柔らかいぶん傷がつきやすいので、定期的なワックスやオイルの塗布で保護する。湿気にも弱いため、乾燥した環境で使用するのがベスト。
シダー家具:防虫効果があり、基本的にメンテナンスはそこまで必要なし。シダーオイルを使って手入れすれば、香りを保つことができる。
ひのき家具:耐久性の高い家具ではあるものの、日光で色が変わることも。設置は陽にあたりやすい場所を避け、湿度を適度に保つことで長持ちします。ひのきオイルやワックスで定期的に保護するのがおすすめ。
木材の硬さだけに注目して選ぶのはもったいない
家具の耐久性を求めるあまり、「とにかく硬い木材を選びたい」と思う人も多いでしょう。ですが、それは少しもったいない考えかもしれません。
確かに木材の硬さは耐久性や使用感に影響を与えますが、木材の魅力はそれだけではないはずです。木目の美しさや色合い、香り、さらには経年変化による風合いの変化など、ほかにも多くの要素が合わさって、木材の魅力を構成しています。
木材の硬さの違いは、木が持っている魅力のひとつの要素にすぎません。硬さの違いにとらわれすぎないよう、全体的な魅力に注目して選ぶようにしましょう。
一枚板のダイニングテーブル・無垢材家具の販売 祭り屋木材のサイトはこちら
祭り屋 公式ネットショップ
https://www.maturiya.co.jp/
祭り屋 海老名店(直営ショップ・ショールーム)
https://www.maturiya.co.jp/fs/kagu/c/store#ebina
祭り屋 東五軒町店(直営ショップ・ショールーム)
https://www.maturiya.co.jp/fs/kagu/c/store#higashi